からばこです。
10年以上譜面を読めずにバンド、ライブ、セッション等に参加してきました。譜面を読めないので、曲をコピーするときは原曲の音源を聴いて、聴こえた通りに叩くのが当たり前でした。
ドラム経験者にとっては耳コピは馴染みのあるものですが、初心者にとっては一つのハードルになります。
また、耳コピについて詳細に解説されている記事があまりないので、今回は

譜面が無い曲でも叩けるようになりたいけど、耳コピの方法がわからない。本当に出来るようになるの?
という方向けに、耳コピができるようになる過程や手順について言語化してみました。
※方法論の一提案という形で読んでいただければ幸いです。
この記事を読めば、
- ドラムの耳コピをできるようになるまでの手順がわかります。
- 耳コピの具体的な方法がわかります。
- 耳コピができれば、譜面が無い曲も叩けるので、演奏の幅が広がりドラムがもっと楽しくなります。
耳コピできるようになるまでの過程(鍛える方法)
今回は耳コピができるようになるまでの段階を下記のように分けてみました。以下の段階を順に進むように実力を鍛えていく要領です。
- 曲を聴いてドラムのフレーズがなんとなく聞こえる
- 原曲と演奏動画を見て、叩く動作と鳴る音の関係がわかる
- 音源だけ聴いて、ドラムの動作がぼんやりイメージできる
- 音源を聴いて、自分の引き出しからどれをあてはめたらいいかがわかる
- 自分の引き出しにないフレーズを新しく習得して補完できる
この段階を曲のジャンルや曲調ごとに育てていくような要領です。
ドラムの例に戻すと、ポップは耳コピできるようになったとしても、手数の多いメタルでも同じようにはできるとは限りません。一方で、手数の多いフレーズを耳コピできる人でも、ポップの繊細なタッチを聴き取れるとか限りません。
なぜならば、耳コピにおいてはジャンルや難易度に応じて注目して聴くポイントが変わるからです。
例えば、サッカーがとても得意な人がいたとして、野球も同じだけ得意だとは限らないのと同じだと思うとイメージしやすいかと思います。
なので、基本的には耳コピはコピーしたいジャンルや曲調ごとに育っていきます。
じゃあ、1曲か2曲だけ耳コピできるようになっても、曲調やジャンルが変わったら全くできなくなるか?というとそうではありません。
色々な曲調やジャンルで耳コピできるようになると、相互作用を起こして耳コピの土台が出来てきます。この土台が出来れば、その人が普段聴くような大体の曲はコピーできるようになります。
なので、出来るだけ色々な曲で耳コピを続けていくと、色々な曲に対しても耳コピできる総合力が身に付きます。総合力を付けるためには、色々な曲を聴くのが大前提です。僕はAmazon primeやSportifyを使って色々な曲を幅広く聴くようにしています。総合力アップのためには色々な曲を聴いて耳コピしていくことが大切です。
このことを念頭に置いた上で、耳コピができるようになるまでの各段階について解説していきます。
曲を聴いてドラムのフレーズがなんとなく聞こえる
曲を聴いて、ドラムが鳴っている音がなんとなく聴こえるまで曲を聴きます。
なんとなく聴くってどこまで?という疑問があると思います。
主にドラム3点(ハイハット、スネア、バスドラム)+クラッシュくらいまで聴こえればOKです。最初はタムの高低差はあまりわからなくてもOKです。聴き取りづらいのはハイタム、ロータム、フロアタムの聞き分けや、バスドラムとフロアタムの聞き分けと思いますが、最初は聴き取れなくてもOKです。
ドラムの音が聴き取れない。という方のために補足しておきます。
普段聴いている曲の中で歌はギターやピアノの音とは切り離して聴き取れると思います。歌が聴き取れるなら、聴き取る対象を歌からドラムに置き換える要領で聴いてみてください。雰囲気でOKです。ドラムを演奏したことのある方であれば、9割方どれがドラムの音かは雰囲気でわかります。
原曲と演奏動画を見て、叩く動作と鳴る音の関係がわかる
耳コピしたい曲の演奏動画を見て、叩いている動きと鳴っているフレーズの関係を掴みましょう。自分の中の引き出しを増やす効果があります。
Youtubeにアップされている「叩いてみた」動画がとても分かりやすいです。大体がドラムをメインで撮影しているからです。
最初から音源からいきなりドラムのフレーズを聴き取ってそのまま叩くのはハードルが高いです。演奏動画を見て、他の人がどうやって手足を動かしているかを見ましょう。
ポイント
- 鳴っているドラムのフレーズと、叩いている動きとを自分の中で相関付けるように意識しましょう。
- このフレーズを鳴らすためにはどこをどの順番で叩けばいいか。そのときの手足の関係はどうなっているか。そのフレーズを叩くための手足の動きを叩きこむようにしましょう。
- 動画で見えた通りに自分でも手足を動かしてみると効果的です。練習パッドやドラムセットを使って動画の動きをなぞってみましょう。
とはいえ、どこまでやればいいか気になると思います。
以下の3つが意識すると良いです。
- 「どのタイミングで何を叩いているのかがわかる」
- 「ビートを刻んでいるときの、右手、左手、右足(左足)の動作の相互関係がわかる」
- 「細かなフィルをどうやって叩いているのかわかる(鳴る音がわかる)」
脳内で「この音を鳴らすためには何をどの順番で叩けばいいか」が相関付けばOKです
音源だけ聴いて、ドラムの動作がぼんやりイメージできる
演奏動画を見ないで、音源だけから叩いている動作をイメージしていきます。ぼんやりとでもOKですが、具体的にどこまでやれば良いかというと、
「3点をどのような動作で叩けば音源通りのフレーズが叩けるかイメージできればOK」です。
音源を聴いて自分の引き出しからどれをあてはめたらいいかわかる
自分が過去に叩いたことのあるフレーズを使えるかどうかを考えていきます。言い換えると、音源を聴いて、現時点で既に叩けるフレーズがあるかどうかを探ります。
引き出しからのあてはめについて解説していきます。
音源で鳴っている3点(ハイハット、スネア、バス)を叩く動きをイメージします。このときに、自分が既に叩けるフレーズのどれを使えばいいかを考えます。
例えば、過去に練習したことがある8ビートのパターンや、フィルの中から似たものを思い返してみます。
このとき、以下2点に留意します。
- 音源の各構成に対して、自分が叩けるフレーズをあてはめて音源通りに演奏できるか否かを判断すること
- 引き出しにあるフレーズを変形させて音源のドラムフレーズに近づけること(どこまで変形させれば音源通りになるかわかって、実際にそれができる)
まずは自分が既に知っていて叩けるフレーズを音源の中で使えるかどうかを判断します。例えば、音源の中で知っている8ビートが多用されていれば問題ないですが、曲によっては自分が知らないフレーズも使われているかもしれません。
まずは、現時点で叩ける箇所と叩けない箇所を切り分けていきます。
自分の引き出しにないフレーズを新しく習得して補完できる
現時点で知らないフレーズ、叩けないフレーズについて細かく聴き取っていきます。その上でそのフレーズを叩けるように練習します。
もっと具体的に説明すると、
- 現時点で自分が叩けるフレーズを変形させても、対応できないフレーズを特定する
- そのフレーズを聞き取って、細部をより音源に近づけていく
といった要領になります。
新しいフレーズであっても、最初に自分が叩けるフレーズを変形させて対応できないか考えます。上手く変形させて対応できれば、ゼロから覚えるわけではないので負担が軽くなります。
一方で、全く対応出来ない場合は、そのフレーズを音粒単位で聴き取る作業が必要です。聴き取れるようになるまで何度も繰り返し聴きます。場合によっては再生速度を落としたり、イコライザを調整するなどの工夫をします。
この段階まで到達すれば、ある程度耳コピで苦労することは少なくなります。
ここまでは「耳コピできるようになるまでの過程」について解説しました。
「できるようになるまでの過程は分かったけれど、具体的な耳コピの実践方法も知りたい」という方のために、次の記事では耳コピの実践方法について解説していきます。
耳コピを実際行うときの実践方法
結論、耳コピは下記の流れで行うと効率的です。
- 曲を繰り返し聞く
- 曲全体の構成を掴む(ざっくりOK)
- 曲全体で使われるメインフレーズを聴き取れた通りに叩く
- メインフレーズ以外の変則的なフィルや構成を掴む
- 変則的なフィルや構成を1箇所ずつ聴き取って、実際に叩く
- 聴き取ったドラムパート全体を演奏して、原曲と比べる
- 比べてみて何となく違う箇所を深掘り修正する(繰り返し)
- 原曲と同じように叩けたら完了
手順のイメージとしては、曲全体をざっくり掴んでから、細かなところを補っていく流れです。木で例えるならば、木の幹→枝→葉の順に詰めていく要領だと思ってください。
まず曲を繰り返し聴きこんで全体像を掴んでいきます。次に曲の大半を占めるメインフレーズ(8ビートなどのパターン)を把握して、全体像の基本的な雰囲気を掴みます。その後、変則的に使われているフィルや休符などの細かな箇所について順番に潰していきます。最後にドラムパート全体を演奏してみて、原曲と比べて違和感のあるところについて修正を繰り返していく流れです。
曲を繰り返し聞く
どれくらい聴けばいいか。結論は覚えるまでです。ただし歌を1曲くらい雰囲気でざっくり覚えるくらいでOKです。
歌をなんとなく覚えるのとまったく同じだけど、歌じゃなくてドラムの音に注目するイメーズです。歌をドラムに置き換えるだけと思えば難しくない気がしてくると思います。実際慣れれば難しくないです。
曲全体の構成を掴む(ざっくり)
次に曲全体の構成をざっくり掴みます。どの程度かというと「イントロ→Aメロ→Bメロ→サビ→間奏→・・・」といった程度です。
特に、歌があるところ、サビ前、サビ後、メロディに特徴がある、賑やか、静か、など自分の印章で分けていくと掴みやすいです。
曲全体で使われるメインフレーズを聴き取れた通りに叩く
曲全体でよく使われているメインフレーズ(繰り返し多用されているビート)を聴こえた通りに叩いてみます。これだけでは分かりづらいので解説します。
曲を聴くと繰り替えしているビートが何個かあるはずです。例えば8ビートや16ビート。それを先に押さえるとドラムの雰囲気的に叩けるようになったつもりになります。
変則的なフィルや構成を1箇所ずつ聴き取って、実際に叩く
メインフレーズ以外の変則的なフィルや構成の場所やタイミングを覚えていきます。
先程掴んだ全体像に細かな装飾をつけていく流れです。
木の幹を捉えてから、枝→葉を見る要領で、残りの変則的なフィルや構成を1個ずつ聞き取っていきます。実際に聞きとった通りに叩いてみる。枝葉の細かな部分を一つずつつぶしていきます。

Q.叩けないフレーズだった

A.自分が叩けるようにアレンジしてOK。
聴き取ったドラムパート全体を演奏して、原曲と比べる
枝葉まで一回なぞってみたら、聴き取ったドラムパート全体を演奏して原曲と比べます。ざっと聞いた感じで違和感があるか、その違和感を無視できるかできないかを考えます。
違和感の感じ方は2つあります。
- ドラムのフレーズが大きく原曲と違っている。
- 他のパートとの兼ね合いで演奏しづらい。
最初はドラムだけを聴いてOKかNGかを判断しがちですが、実はドラム以外にも注目ポイントがあります。他の演奏パートとの兼ね合いで演奏しづらかったり違和感があるなら、その違和感をつぶすために聴き取り直すか、アレンジしていきます。
比べてみて何となく違う箇所を深掘り修正する(繰り返し)
原曲と自分の演奏を比べてみて、なんとなく違う部分について深掘りして修正していきます。
これを何度も繰り返すことで、枝葉も含めて全体的な雰囲気を音源に近づけていきます。
原曲と同じように叩けたら完了
原曲と同じように叩けたと思ったら完了です。
ただし、耳コピに正解は無いということを覚えておいてください。
なぜならば、その原曲を演奏している本人でさえ、録音のときとライブのときとで多少違う演奏をしているからです。
例えば、ゴーストノートの有無や、フレーズ簡略化などはプロでも変わってきます。
なので、耳コピはあくまで「自分が納得いくかどうか」「自分が出来たと思うかどうか」を判断基準にするべきです。
譜面が無くても叩けるので、演奏の幅が広がりドラムがもっと楽しくなる
曲をコピーしようと思った時に、譜面を探して譜面の有無で歓喜することが無くなるので、色々な曲にチャレンジできるようになります。
極端な話をすれば、音源≒譜面のような役割になるので、色々な曲を聴けば聞くほど上達が速くなります。僕はAmazon primeやSportifyを使って色々な曲を幅広く聴くようにしています。
自分が好きな曲を演奏しようと思った時にすぐ叩く練習をできるので、モチベーションも上がるし、ドラムが楽しくなります。初心者~中級者であれば耳コピは出来た方が損しません。
先に紹介した流れはあくまで一個人が提案する方法論ですが、実際この流れで10年以上続けてきましたので参考になれば幸いです。
もしよければ他の記事も目を通していってください。
長くなりましたが、最後まで読んでいただきありがとうございました。